2024-11-12
不動産は価値のわかりにくい資産なので、遺言書の内容が不平等になることがあるかもしれません。
そのようなときは、遺留分を請求できる可能性があります。
そこで今回は、遺留分とは何か、不動産評価額を調べる方法や決まらないときの対処法もふまえて解説します。
山口県防府市で不動産を相続する可能性のある方は、ぜひご参考になさってください。
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相続人は、必ずしも被相続人の財産を受け取れるとは限りません。
被相続人は、遺言や生前贈与によって、財産を特定の方に渡すことができるためです。
たとえば、長男と長女が法定相続人の場合に、「現金や不動産などの財産はすべて長男にゆずる」との遺言書があると、長女は何も相続できなくなってしまいます。
そのようなときの救済措置が、遺留分制度です。
遺留分制度とは、相続人が相続財産から最低限の取り分を確保できる制度です。
相続人の最低限の取り分を、遺留分と言います。
遺留分制度が設けられた目的は、法定相続人である遺族の生活を保障することです。
そのため、被相続人と生計が別であることの多い兄弟姉妹には、遺留分は認められていません。
遺留分が認められるのは、被相続人の配偶者と子ども、そして両親です。
なお、本来の相続人である子どもが亡くなっており、代襲相続が発生した場合は、代襲相続人にも遺留分が認められます。
遺留分の取得割合は、誰が相続人になるかによって変わります。
基本的には法定相続分の2分の1で、親などの直系尊属のみが相続人の場合は3分の1です。
法定相続分とは、民法によって定められている相続割合であり、こちらも誰が相続人かによって変わります。
例として、以下のケースの法定相続分と遺留分を確認してみましょう。
相続人が配偶者と子ども1人の場合、法定相続分は2分の1ずつです。
遺留分の割合は法定相続分の2分の1なので、遺留分を侵害された場合は、それぞれ4分の1を請求できます。
相続人が配偶者と被相続人の親の場合、法定相続分は「配偶者3分の2、親3分の1」です。
遺留分は配偶者が3分の1で、被相続人の親は6分の1です。
そして、相続人が被相続人の親のみの場合は、相続財産をすべて受け取れます。
ただし、直系尊属のみが相続人のケースなので、遺留分の割合は相続財産の3分の1です。
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遺留分が侵害されているかどうかは、相続財産の価額によって判断します。
たとえば、相続人が配偶者と子どもで、相続財産が預金6,000万円の場合、遺言書に「配偶者に5,000万円、子どもに1,000万円を渡す」と書かれていたとしましょう。
この場合、子どもの遺留分は4分の1なので、侵害されていることがすぐにわかります。
けれど、相続財産に不動産がある場合は、一見しただけでは価値がわかりません。
そのため、「配偶者に現金、子どもに不動産を遺す」などの遺言書がある場合に、遺留分の侵害があるかどうかを確認するためには、不動産の評価額を調べる必要があります。
不動産の評価額には複数の種類があるので、おもな3つの評価額について確認してみましょう。
固定資産税評価額とは、不動産の固定資産税額を算出する際に使う評価額です。
一般的には時価よりも安く、地価公示価格の7割ほどと言われています。
固定資産税評価額を調べるときは、固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書を確認しましょう。
路線価は道路ごとに設定されており、その道路に面する土地の面積1㎡当たりの価格を表します。
毎年1月1日の土地の価格が夏に発表され、国税庁のホームページで確認できます。
こちらも時価より安く、地価公示価格の8割ほどになることが一般的です。
地価公示価格とは、国土交通省が毎年公表している1月1日時点での土地の価格です。
2人以上の不動産鑑定士によって鑑定評価がおこなわれ、国土交通省の土地鑑定委員会が審査したうえで決定します。
地価調査標準価格は、都道府県が毎年7月1日に調査をおこなって公表する土地の価格です。
評価基準は地価公示価格とほぼ同じですが、時期が異なるので、直近に発表された価格を使うとより実情に近づくでしょう。
なお、評価額のなかで価格が高いのは、地価公示価格や地価調査標準価格です。
不動産の価格は遺留分の額を計算する際にも使うので、遺留分を侵害された方は、これらの評価額を使いたいと思うかもしれません。
ただし、評価額を一方的に決めてしまうと、相続人同士や遺留分を侵害している方などとトラブルになってしまう可能性があります。
どの評価額を使うかは、当事者同士がきちんと話し合いをして決めましょう。
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不動産を相続するときに起こりやすいトラブル
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不動産の評価額にはいくつかの種類があり、立場によって使いたいものは変わるでしょう。
遺留分の請求をする方は、少しでも評価額を高くしたいと考え、請求される方は低くしたいと考える傾向にあるためです。
そのため、双方の意見が合わず、不動産評価額が決まらないことは多々あります。
しかし、不動産評価額が決まらないと、遺留分の請求手続きを進めることができません。
そこで、不動産評価額が決まらないときの対処法を3つ、確認しておきましょう。
不動産鑑定士とは、不動産の鑑定評価をおこなうために必要な国家資格です。
不動産の経済価値を判定する専門家であるため、鑑定を依頼すると、正当かつ公平な評価額がわかります。
専門家である不動産鑑定士が提示した評価額なら、全員が納得して、トラブルなく決まる可能性が高いでしょう。
不動産評価額が決まらない場合、当事者だけで話し合いをしても、うまくまとまらないことが多いでしょう。
その際は、法律の専門家である弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士には遺留分だけではなく、相続に関するさまざまな相談ができ、手続きの代行を依頼することも可能です。
相続の際に意見が分かれると、トラブルに発展してしまう可能性があるので、困ったときは早めに弁護士へ相談しましょう。
第三者を介する対処法では、裁判所を利用する方法も有効です。
裁判所で調停を申し立てると、中立な立場である調停委員が当事者の間に入り、問題やトラブルの解決を図ります。
調停で和解できないときは、訴訟を申し立てると、裁判官によって遺留分侵害額の判決が出されます。
遺留分は、いつまでも請求できるわけではありません。
遺留分侵害額請求権の時効は、相続が開始して、遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年です。
そのため、不動産評価額が決まらないなどの理由で手続きが進まないときは、早めに対処法を実践しましょう。
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遺留分とは、相続人が相続財産から確保できる最低限度の取り分です。
相続財産に不動産がある場合、遺留分の額を決めるためには、評価額を調べる必要があります。
不動産の評価額は複数あるので、どれを使うか意見が合わないときは、不動産鑑定士に依頼するなどの対処法を実践しましょう。
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