相続における寄与分とは?認められる要件と特別寄与料について解説

2023-11-14

相続における寄与分とは?認められる要件と特別寄与料について解説

この記事のハイライト
●被相続人の財産の維持・増加に貢献をした相続人に対して相続分以上の遺産を取得させる制度のことを寄与分という
●寄与分の請求が認められるケースは、通常期待されるような程度を超える特別な貢献をおこなった場合である
●2019年の法改正により相続人以外の親族の方でも特別寄与した場合は「特別寄与料」が請求できるようになった

相続人やその親族の方たちのなかには「被相続人を献身的に介護してきた」「家業を無給で手伝っていた」といった方もおられるでしょう。
そのような場合は、法定相続分を超える遺産を相続できる「寄与分」を請求することができます。
そこで、相続における寄与分とはどのような制度なのか、認められる要件と特別寄与料について解説します。
山口県防府市で不動産を相続する予定がある方は、この記事をぜひ参考になさってください。

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相続における寄与分とは?

相続における寄与分とは?

長年、被相続人の介護に携わったり、被相続人の家業に従事してきた場合、相続時に「寄与分」を請求できることがあります。
ここでは、相続における寄与分とはなにか、また請求する方法について解説します。

寄与分とは

被相続人の財産の維持・増加に特別に貢献をした相続人がいる場合、その相続人に対して相続分以上の遺産を取得させる制度のことを「寄与分」といいます。
一般的には、遺産分割は法定相続分にしたがって遺産を分けるのが基本です。
しかし、相続人のなかに被相続人の介護をしてきた方や、家業を無給で手伝ってきた方がいる場合、法律どおりの遺産分割では不公平に感じてしまうのではないでしょうか。
そこで、そのように貢献してきた方々には寄与分を認め、ほかの相続人との公平をはかっているのです。

寄与分を請求する方法

では、寄与分を受け取りたい場合、どのような方法で請求したら良いのでしょうか。
請求する方法には以下の3つの方法があります。

  • 話し合いにより請求する
  • 家庭裁判所の調停を利用する
  • 家庭裁判所の審判を利用する

それぞれの請求方法について解説します。
請求方法①話し合いにより請求する
1つ目の方法は、遺産分割協議で相続人同士で話し合って決める方法です。
相続人同士の話し合いで寄与分が認められれば、短期間で解決できるメリットがあります。
一方で、裁判所が関与しないため、専門知識などを有していないと話し合いが難航する恐れもあるでしょう。
そのため、話し合いにより寄与分を主張する場合は、弁護士などに相談して進めていくことをおすすめします。
請求方法②家庭裁判所の調停を利用する
2つ目は、家庭裁判所へ申し立てをおこない調停により話し合う方法です。
遺産分割協議での話し合いが難航した場合には、裁判所を通すことにより話し合いが進む可能性があります。
ただし、調停手続きには長期間かかる点や、平日に裁判所に出向く必要がある点に注意しなければなりません。
請求方法③家庭裁判所の審判を利用する
調停での話し合いがまとまらず不成立となった場合は、審判手続が開始されます。
審判では、双方からの事情や提出された情報などをもとに、寄与分を認めるかどうかの判断を下すことになります。
なお、審判に移行する場合は、遺産分割の審判の申立てと、寄与分を認める審判の両方の申立てが必要です。

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相続時に寄与分が認められる要件

相続時に寄与分が認められる要件

被相続人に貢献していたからといって、必ずしも寄与分が認められるわけではありません。
ここでは、寄与分が認められる要件5つと、寄与行為について解説します。

寄与分が認められる5つの要件

寄与分として認められる要件は、以下のように5つあり、1つでも欠くと認められないため注意しましょう。

  • 相続人である
  • 財産の維持や増加の貢献に因果関係があること
  • 特別な貢献であること
  • 被相続にから対価を受け取っていないこと
  • 一定期間以上貢献した経緯がある

主に上記の5つの要件を満たしている方が寄与分の対象となります。
特に重要なのが、特別な貢献であることです。
つまり、親子や夫婦として多少身の回りの世話や食事の準備をしたからといって、寄与分が認められることはありません。
特別な貢献とは、通常期待されるような程度を超える貢献であったかどうかです。

寄与分が認められる5つの型

認められる主なケースは、以下の5つの行為にかかわる行為になります。

  • 事業従事型(被相続人の事業の手続きをおこなっていた)
  • 金銭出資型(被相続人に不動産や事業のための資金を提供した)
  • 療養看護型(被相続人の介護をおこなっていた)
  • 扶養型(被相続人が生活するうえで必要な資金を援助した)
  • 財産管理型(被相続人の財産管理をおこなっていた)

上記は、いずれも無償で貢献していた場合に限られます。
また、前述したように、家族であれば当然おこなうような行為は寄与として認められないため注意しましょう。

寄与分の時効について

2023年4月1日の民法改正により、寄与分は「相続発生から10年以内に限り」請求することができると変更されました。
そのため、10年以内に請求をしなければ、たとえ生前に貢献をしていたとしても請求することができません。
10年を経過してしまうと、寄与分は考慮されず法定相続分で分割することになるため注意しましょう。
したがって、寄与分の請求をするつもりの方は、早めに行動に移すことをおすすめします。

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相続人以外でも寄与分が認められる?特別寄与料とは

相続人以外でも寄与分が認められる?特別寄与料とは

これまでは、寄与分は相続人のみが認められていました。
しかし、2019年の民法改正により相続人以外の方でも寄与分を請求できるようになりました。
これを「特別の寄与」といい、寄与に応じた金額のことを「特別寄与料」といいます。
ここでは、特別寄与料とはどのような制度なのか解説します。

特別寄与料の概要

これまでは、寄与分は相続人のみが認められており、相続人の配偶者が被相続人を献身的に介護していたようなケースでも、寄与分が認められていませんでした。
しかし、そのようなケースを救済するために、2019年に特別寄与料の制度が施行されました。
そのため、相続人以外の方でも無償で介護などに貢献していれば、相続人に対して寄与に応じた金銭(特別寄与料)を請求することができるようになったのです。
ただし、被相続人に貢献していたからといって、すべての方が特別寄与料を認められるとは限りません。
特別寄与料を請求でき、認められるのは「6親等内血族と3親等内姻族」です。
つまり、内縁の妻、友人、知人といった方々は認められていないため注意しましょう。

特別寄与料は請求期間に制限がある

特別寄与料を請求したい場合は、家庭裁判所に申立てします。
相続人による遺産分割協議に加わるわけではありません。
ただし、注意点は請求には期限が定められている点です。
申立てが可能な期間は「相続開始から1年以内」もしくは「相続開始および相続人を知ったときから6か月以内」です。
それ以後は、特別寄与料を請求することはできないため注意しましょう。
なお、実際に特別寄与分や寄与分の請求をする際は、相続人で争いなどのトラブルになることもあるため、弁護士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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まとめ

被相続人に対して財産の維持や増加など特別な貢献をおこなった場合、法定相続分を超える遺産を相続できる「寄与分」を請求することができます。
また、2019年からは相続人以外の親族の方でも「特別寄与料」を相続人に請求できるようになりました。
それぞれ、請求する期限が設けられているため、要件を満たす方は早めに実行に移すようにしましょう。
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