相続欠格になるとどうなる?相続廃除との違いも解説

2023-11-21

相続欠格になるとどうなる?相続廃除との違いも解説

この記事のハイライト
●相続欠格とは、法律により遺産相続をする権利が剥奪されること
●相続欠格に該当するとたとえ遺言書に指定されていても遺産を受け取ることはできない
●相続欠格と相続廃除の違いは被相続人の意思が関係しているかどうかである

本来、相続が発生した際に相続人になる立場であっても「相続欠格」に該当した場合は、相続する権利を失ってしまいます。
相続欠格となると、被相続人の遺産すべてを相続することができなくなるため注意が必要です。
そこで、相続欠格とはなにか、相続欠格となった場合はどうなるか、相続廃除との違いについて解説します。
山口県防府市で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。

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相続における「相続欠格」とは?

相続における「相続欠格」とは?

相続が発生すると、法律により相続人が決められますが、相続人に該当するからといって必ずしも遺産を相続できるわけではありません。
相続人の行動によっては、遺産を相続する権利が剥奪される「相続欠格」に該当することがあります。
ここでは、相続欠格とはなにか、また相続欠格となる行為について解説します。

相続欠格とは

相続欠格とは、遺産相続をする権利が剥奪されることを指します。
これは民法891条で定められており、相続欠格が適用されると、一切の遺産の相続はできなくなります。
また、遺産の最低限の取り分である遺留分についても受け取ることはできません。
なお、相続欠格になった相続人に子がいる場合は、欠格者に代わって「子」が遺産相続をすることが可能です。

相続欠格の5つの事由

相続欠格となってしまう行為には以下の5つがあります。

  • 被相続人やほかの相続人を死亡させたり、死亡させようとした
  • 被相続人が殺害されたことを知りながら告発しなかった
  • 詐欺や脅迫により遺言を取り消し・変更を妨げた
  • 詐欺や脅迫により遺言を取り消し・変更をさせた
  • 遺言書を偽造・破棄・変造・隠ぺいした

被相続人や同順位以上の相続人を故意に死亡させたり、死亡させようとして刑に処せられた場合は、当然ながら相続欠格に該当します。
なお、介護が必要な被相続人に、故意に食べ物を提供しない場合も遺棄罪となり相続する資格を失います。
また、被相続人が殺害されたことを知りながら、それを告発しなかった場合も該当するため注意が必要です。
そのほかにも、被相続人が作成した遺言書の取り消し・変更などの行為などを妨げたり、脅迫し変更や取り消しさせたりした場合も相続欠格になります。
さらに、遺言書の記載内容をみて遺言書の書き換え、破棄、隠ぺいするような行為も相続する権利を剥奪されます。
このように相続欠格になるのは、通常の素行の悪さ程度ではなく、明らかに相続秩序を侵害するような悪行をしたケースです。

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相続人が相続欠格になるとどうなる?

相続人が相続欠格になるとどうなる?

相続人が相続欠格となった場合、どうなってしまうのか解説します。

相続・遺贈を受け取れなくなる

相続欠格になると、その相続人はただちに相続権が剥奪され、相続や遺贈を受ける権利を失います。
相続欠格が発生するタイミングは、相続欠格事由に該当した時点です。
ただし、相続が開始されたあとに相続欠格事由に該当した場合は、相続発生時に遡って相続人の権利がなくなります。
つまり、すでに遺産分割協議が終わっていた場合は、ほかの相続人は相続回復請求をして遺産を取り戻します。

遺言書で相続人の指定があっても相続できない

相続欠格に該当した場合は、たとえ遺言書に遺産の相続人として指定されていても相続することはできません。
通常は、遺言書の内容は尊重されますが、相続欠格の場合は遺言書よりも相続欠格が優先されるため注意しましょう。

子どもが代襲相続人になる

前述したように、相続欠格となった相続人は相続する権利を失いますが、その相続人に子どもがいる場合は、その子どもが代襲相続することが可能です。
代襲相続とは、本来相続人となるはずであった方が何らかの理由により相続権を失った場合に、その子などが代わって相続する制度のことです。
たとえば祖母が亡くなり、本来であれば父親が相続人ではあるものの、相続欠格に該当すると仮定します。
父親は相続欠格のため、祖母の遺産を相続することができません。
しかし、父親には子どもがいる場合は、代襲相続によりその子が代わりに祖母の遺産を相続します。
このように代襲相続については、相続権を剥奪された場合でも適用されます。

相続欠格は特定の被相続人との間に限られる

一度でも相続欠格となったら「ほかの相続が発生した場合でも相続できないのでは?」と疑問に感じる方もおられると思います。
しかし、あくまでも相続欠格は相続欠格者と特定の被相続人の間のみでの発生に限られます。
そのため、ほかの親族が亡くなったからといって、そのほかの相続で相続欠格になることはありません。
たとえば、父親が亡くなり相続が発生したと仮定します。
相続人である子どもが相続欠格に該当した場合、父親の遺産については相続することができません。
しかし、その後母親が亡くなり相続が発生した場合は、相続人として遺産を相続することが可能になります。
ただし、親を故意に死亡させた場合は、祖父母の遺産を代襲相続することはできません。

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相続前に知っておきたい「相続欠格」と「相続廃除」の違い

相続前に知っておきたい「相続欠格」と「相続廃除」の違い

相続欠格と同様に相続する権利が剥奪される制度に「相続廃除」があります。
ここでは、相続廃除とはどのような制度なのか、また相続欠格と相続廃除の違いについて解説します。

相続廃除とは

相続廃除とは相続人に明らかに非行があるなど、相続させたくない場合に被相続人が家庭裁判所へ申し立て、相続人から相続する権利を剥奪することを指します。
殺人や遺言書の偽造や隠ぺいなど法律上の重大な行為まではなくとも、以下のような行為をおこなった場合に相続廃除することが可能です。

  • 被相続人に対して暴力や精神的苦痛を与えるなどの虐待行為
  • 被相続人の感情や名誉を害する重大な侮辱行為
  • 犯罪、遺棄、不貞行為などの著しい非行行為

このような相続廃除の条件に該当する場合は、相続権が剥奪される可能性があります。

相続欠格と相続廃除の違い

相続欠格と相続廃除には大きく2つの違いがあります。

  • 被相続人の意思の有無
  • 取り消しできるかどうか

1つ目の大きな違いは、被相続人の意思が関係しているかどうかです。
相続欠格の場合は、法的に相続人としての権利が剥奪されるため、被相続人の意思とは関係ありません。
一方で、相続廃除は被相続人の意思が大きく関係します。
相続廃除は、あくまでも被相続人の意思により相続する資格を奪えることにしています。
2つ目の違いは、取り消しについての対応です。
相続欠格は、取り消すことはできませんが、相続廃除は取り消すことが可能です。
相続廃除は、被相続人の意思を尊重する制度であるため、被相続人が相続廃除を取りやめたいとなれば、取り消すことができます。
ただし取り消す際は、被相続人が生前に裁判所に取り消しの申し立てをおこなわなければなりません。
なお、取り消しは遺言でも可能ですが、その場合は遺言執行者が裁判所に対して申し立てをおこなう必要があります。
このように、相続廃除はいつでも廃除の取り消しができる点が相続欠格とは大きく異なります。

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まとめ

相続欠格に該当すると、たとえ遺言書で指定されていたとしても、被相続人の遺産を一切受け取ることができなくなります。
相続欠格になる事由は、殺人以外にも遺言書の書き換えや隠ぺいなども該当します。
相続廃除と異なり、被相続人の意思とは関係なく相続権が剥奪され、取り消されることもないため注意しましょう。
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