未登記の不動産を相続するには?未登記になる理由と放置するリスクも解説

2023-12-19

未登記の不動産を相続するには?未登記になる理由と放置するリスクも解説

この記事のハイライト
●表題登記がされていない不動産を未登記物件という
●未登記物件を放置すると売却が困難になるなど多くのリスクが生じる
●未登記物件を相続するには表題登記の申請が必要である

親が亡くなり実家を引き継ごうとしたら、登記がされていなかったというケースがあります。
未登記物件を相続する際は通常と異なる手続きが必要となるため、注意点も含めてしっかり理解しておくことが重要です。
そこで今回は、未登記物件を相続する方法や未登記になる理由、登記せずに放置するリスクなどを解説します。
山口県防府市で不動産を相続するご予定の方は、ぜひ参考になさってください。

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相続前に知っておきたい!未登記物件が生じる理由とは

相続前に知っておきたい!未登記物件が生じる理由とは

親が亡くなり相続が発生すると、基本的には相続人にあたる子どもが財産を引き継ぎます。
財産には現金や預貯金、不動産、株式など多種多様なものがありますが、土地や建物を相続したら「相続登記」が必要です。
相続登記とは、相続した不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人に変更する手続きのことです。
登記申請書を必要書類と一緒に法務局へ提出すれば、不動産の名義変更が完了し、登記簿に相続人の氏名などが記載されます。
この名義変更をしようとした際に、そもそも登記がされておらず、手続きができないケースがあります。
まずは未登記とはどのような状態なのか、なぜ未登記の物件が生まれるのかを確認しておきましょう。

未登記とは?

登記簿に記載されている情報は、次のように大きく3つに分類されます。

  • 表題部:所在・地番・地目・地積・家屋番号・原因・床面積など
  • 権利部(甲区):不動産の所有権に関する事項
  • 権利部(乙区):不動産の所有権以外の権利に関する事項

建物を新築したら、所有者は1か月以内に表題登記の申請をしなければなりません。
表題登記が完了したら続いて甲区、乙区という順序で作成するのが一般的です。
表題部は表紙のようなものであり、表題部がなければ次に作成される甲区も乙区もありません。
つまり未登記とは、この表題部が作られておらず、登記簿が存在しない状態のことをいいます。
未登記物件はそもそも登記簿が存在しないため、法務局で登記簿を取得しようとしてもできません。
もし法務局で登記簿を取得できなければ、その物件は未登記と考えて良いでしょう。

未登記物件が生まれる理由

新たに建物を建てた場合は、1か月以内に表題登記の申請をしなければなりません。
これは不動産登記法によって規定されており、申請を怠ると10万円以下の過料の対象となります。
それでは、なぜ未登記のまま放置されている不動産が存在するのでしょうか。
実は未登記であっても、不動産を売買したり増築で融資を受けたりしない限りは不便を感じません。
不動産売買時やローン契約時には、所有権や抵当権を明確にしなければならないため登記は必須です。
しかし普通に暮らしているだけであれば、未登記であっても事実上困ることはありません。
また法務局から登記申請を催促されることもないため、そのまま放置されているケースが多いのです。

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相続で未登記の不動産をそのままにするリスクとは?

相続で未登記の不動産をそのままにするリスクとは?

相続した不動産が未登記だった場合、通常とは異なる手続きが必要になります。
手続きには費用や手間がかかるため、後回しにしてしまう方も少なくありません。
しかし、未登記物件をそのままにするとさまざまなリスクが生じ、多額の支払いが生じることもあります。
ここからは、未登記物件をそのままにするリスクについて解説します。

10万円以下の過料の対象となる

不動産を取得してから1か月以内に表題登記申請をおこなわないと、10万円以下の過料に処される可能性があります。
また権利部登記は義務ではありませんが、2024年4月から義務化されることが決定しているため注意が必要です。
こちらも正当な理由なく期限内に申請をおこなわないと、10万円以下の過料の対象となってしまいます。

売却が難しくなる

不動産を取得した後に登記をしなければ、所有権を第三者に主張することはできません。
自分が所有者であることを証明できないとなると、買主は不安に思い購入を断念することもあるでしょう。
また、買主が住宅ローンを組む際は、金融機関が不動産に抵当権などの担保権を設定します。
これらの情報は登記簿の権利部に記載されるため、そもそも登記がなければ買主は融資を受けられません。
住宅ローンが組めないとなると購入を見送る方も多く、不動産が売れ残る原因となります。

権利関係が複雑になる

未登記物件を放置したまま相続が繰り返されると、相続人が雪だるま式に増えていきます。
不動産の取得者を決めるには相続人全員の承諾が必要なので、相続人が多いほど揉める可能性が高まります。
相続人だけでは話をまとめられない場合は、問題を解決するために裁判所の力を借りなければなりません。
相続人が何十人、何百人にまで登ってしまうと、所在を調べるだけでも多くの時間と手間がかかってしまうでしょう。

過去の固定資産税を請求される可能性がある

不動産の所有者には、毎年固定資産税が課されますが、未登記だと市町村に建物の存在を認識されていない可能性があります。
いざ登記をして建物の存在が明らかになったとき、地方税法の規定により過去納税していない分を請求されることがあります。
次世代の子どもたちに迷惑をかけないためにも、未登記に気付いたら速やかに対処することが大切です。

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未登記の不動産を相続する方法とは

未登記の不動産を相続する方法とは

未登記の不動産を相続する場合、通常とは異なる手続きが生じます。
ここからは、未登記の不動産を相続する際に必要な手続きの流れについて解説します。

未登記の不動産を相続するには表題登記が必要

本来であれば、不動産を相続したら相続登記の手続きをおこなわなければなりません。
しかし相続不動産が未登記の場合は、はじめに表題登記の申請が必要です。
相続が発生してから登記を完了させるまでの流れは、次のとおりです。

  • 遺産分割協議をおこなって不動産の相続人を決める
  • 意見がまとまったら遺産分割協議書を作成する
  • 「表題登記」を管轄の法務局に申請する
  • 「権利部登記」(所有権保存登記)を申請する

相続人が複数いる場合は、まず遺産分割協議をして未登記物件の相続人を決めます。
話し合いがまとまったら、相続人全員で決めた内容を遺産分割協議書に記載します。
遺産分割協議書には相続人全員の署名と押印が必要なので、印鑑を忘れないようにしましょう。
その後、表題登記の申請をおこない、続いて権利部登記(所有権保存登記)の申請へと進みます。
この権利部登記が、いわゆる相続登記の手続きに該当します。
手続きをスムーズに進めるためにも、必要書類などは事前に不動産会社に確認しておきましょう。

遺産分割協議書を作成する際の注意点

未登記物件の相続では、遺産分割協議書の記載方法にも注意が必要です。
本来であれば登記簿謄本を参考にして協議書を作成しますが、未登記だとそもそも登記簿謄本がありません。
そのため未登記物件の場合は、固定資産記載事項証明書や名寄帳といった書類から不動産の情報を得ることになります。
また協議を作成する際は不動産の情報だけでなく、未登記建物として相続することも必ず記載しましょう。
相続時の情報を詳細に記載することで、相続人同士による「言った言わない」のトラブル防止に繋がります。

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まとめ

相続が発生してからはじめて未登記物件だと気付くケースは少なくありません。
未登記のまま放置してしまうと権利関係が複雑になり、子や孫世代にも迷惑をかけてしまう恐れがあります。
また相続登記は2024年4月から義務化されることが決定しているため、不動産を相続したら速やかに手続きをしましょう。
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吾郷康晴

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