遺産相続の手続きはやり直しできる?手続きの期限・時効や種類を解説

2024-08-20

遺産相続の手続きはやり直しできる?手続きの期限・時効や種類を解説

この記事のハイライト
●遺産相続の手続きの際には期限と時効があり手続きによって月日や年数が異なる
●相続放棄や相続登記の手続きは期限を過ぎると権利の喪失やペナルティが発生するため注意が必要
●遺産分割請求権に時効はないが取消権は取り消せる事由を知ってから5年以内となる

遺産分割協議後に新たな財産が見つかった場合など、遺産相続手続きをやり直したい方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、遺産相続手続きの時効と期限、期限のある遺産相続の手続きや遺産分割のやり直しが可能な点について解説します。
山口県防府市で遺産分割のやり直しをご検討中の方は、ぜひご参考になさってください。

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遺産相続のやり直しは可能?時効と期限について

遺産相続のやり直しは可能?時効と期限について

遺産相続の手続きには、さまざまな期限や時効があります。
期限や時効は法律で定められており、厳守する必要があります。
「期限」とは、その日までに手続きを完了しなければならない最終期日のことです。
たとえば、相続税の申告は、相続開始の翌日から10か月以内におこなわなければなりません。
この10か月が「期限」になります。
期限を過ぎると、法的な不利益を被る可能性があります。

期限と時効の違い

「時効」とは、一定期間が経過すると、権利が消滅したり新たに権利が発生したりする制度のことです。
時効によって権利関係が変わるため「期限」とは異なる概念です。
ただし、一定期間内に手続きをしないと権利が失われる「消滅時効」の場合、その一定期間が事実上の「期限」のように機能します。

「消滅時効」とは

消滅時効とは、一定期間内に手続きをおこなわないと、その権利が完全に失われてしまう制度です。
たとえば、法定相続人が遺言により遺留分(法定相続分)を侵害された場合、その事実を知ってから1年以内に請求しないと、その後は権利を主張できなくなってしまいます。
つまり、1年が「消滅時効」の期間となり、守らないと権利自体が消失します。

「取得時効」とは

一方、取得時効は、一定期間権利者のように振る舞っていれば、新たにその権利を取得できる制度です。
代表例が不動産の所有権です。
他人の土地を20年間(善意無過失の場合は10年間)、平穏に占有し続ければ、最終的にその土地の所有権を取得できる可能性があります。
つまり、所有権がなくても、長年占有し続ければ所有権を取得できるというわけです。
なお、善意無過失とは、落ち度がなく、ある事実を知らなかったことを指します。
このように、時効には権利の消滅と取得の両側面があり、遺産分割のやり直しを検討する際は、両方の観点から期間に注意を払う必要があります。

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期限のある遺産相続の手続きとは?

期限のある遺産相続の手続きとは?

遺産相続の手続きは、手続きの種類によって期限が異なります。
この章では、期限のある遺産手続き一覧と、相続手続きのなかでも重要な相続放棄、相続登記の期限について解説します。

期限のある遺産手続き

期限のある遺産相続の手続きは、以下のとおりです。

  • 死亡届:死亡後7日以内
  • 健康保険・年金の手続き:厚生年金は死亡後10日以内、国民健康保険や国民年金は死亡後14日以内
  • 遺留分侵害額請求の期限:遺留分を侵害されたことを知ってから1年以内に請求
  • 遺産分割請求権:遺産分割請求権自体には時効の規定はない
  • 相続回復請求の期限:相続権を不当に侵害された事実を知ってから5年以内または被相続人が亡くなってから20年以内のいずれか遅い方まで

遺留分侵害額請求については、侵害されたことに気づかなかった場合、相続開始から10年以内であれば請求可能です。

相続放棄の期限と注意点

亡くなった方の遺産には、プラスの資産(土地・預貯金など)だけでなく、マイナスの債務(借金・ローンなど)も含まれる場合があります。
相続人が遺産のすべてを放棄することを「相続放棄」といいます。
相続放棄をする際の注意点は、プラスの資産とマイナスの債務を分けて選んで放棄することはできない点です。
さらに、相続放棄には期限があり、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申し出をおこなわなければなりません。
この3か月の期限を過ぎると相続放棄する権利は失われるため、ご注意ください。

相続登記の義務化と申請期限

相続登記とは、土地や建物など不動産の所有者が亡くなった際に、新しい相続人の名義に変更する手続きのことです。
これまでは相続登記は任意で、期限の規定もありませんでした。
そのため、相続登記がなされないまま所有者不明の不動産が増え、災害復興や不動産取引の支障になるなどの問題が発生しています。
そこで、相続にともなう所有権の移転をスムーズにおこない、所有者不明の問題を解消するための対策として、2024年4月から相続登記が義務化されました。
具体的には、不動産を相続した方は、その不動産の所有権を取得したことを知ってから3年以内に、相続登記の申請をおこなわなければなりません。
3年を過ぎると10万円以下の過料が科される可能性があります。
つまり、相続した不動産については、相続の開始を知ってから3年以内が相続登記の申請期限となり、この期限を守らない場合はペナルティが科される仕組みです。

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相続における遺産分割のやり直しは可能?

相続における遺産分割のやり直しは可能?

一度決まった遺産分割でも、後からやり直すことが可能です。
相続人全員が納得すれば、以前の取り決めを白紙に戻して、新しい条件で分割し直すことができます。
また、遺産分割の際に重大な錯誤や詐欺、強迫行為があった場合は、合意がなくてもやり直しを求められる可能性があります。
遺産分割の取り消しを主張し、適切な分割をおこなうことが可能です。

遺産分割自体に時効はない

遺産分割請求権に時効はありません。
相続発生からどれだけ年数が経過していても、協議や調停、審判によって分割方法を定めることができます。
同様に、一度決まった遺産分割をやり直す「再協議」にも、時効による制限はありません。

時効が適用されるケース

ただし、錯誤や詐欺など不当な事由があった場合に、遺産分割を取り消してやり直しを求める「取消権」には、時効の規定があります。
その時効期間は「取り消せる事由を知ってから5年以内」です。
つまり、不当な事由に気付いてから5年を過ぎると、取消権は消滅し、やり直しを求められなくなります。
同様に、遺産分割がおこなわれてから20年が経過した場合も取消権は消滅します。

遺産分割のやり直しができる主な場合

遺産分割後に新たな財産が発見された場合、その財産の分け方について再協議が必要です。
相続人全員が合意すれば、遺産分割全体のやり直しも可能です。
新たな財産が大きな価値のある重要なものであれば、全体のやり直しが求められる可能性もあります。
遺産分割協議が無効だった場合も同様です。
相続人全員が参加せずに協議されていた場合や、判断能力のない方が単独で参加していた場合など、協議自体が無効とされる理由があれば、やり直しが必要になります。
遺産分割協議でだまされた、脅された、重大な勘違いをしていたなどの理由があれば、遺産分割の取り消しを求め、やり直しを主張しましょう。
遺産分割協議のやり直しの際は、新しい遺産分割協議書を作成し、全員が実印で署名・押印する必要があります。
やり直しをする際には以前の協議書は破棄しましょう。

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まとめ

遺産相続の手続きの際は、期限や時効に注意が必要です。
とくに、相続放棄や相続登記の手続きは期限を過ぎると、相続放棄ができなくなったり、ペナルティが科されたりします。
遺産分割請求権に時効はありませんが、取消権は取り消せる事由を知ってから5年以内です。
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