マンションの相続税評価額とは?建物と土地の計算方法について解説!

2024-09-17

マンションの相続税評価額とは?建物と土地の計算方法について解説!

この記事のハイライト
●マンションの相続税評価額は土地と建物を別々にして計算する必要がある
●マンションの建物部分の相続税評価額は「固定資産税評価額」と同額である
●2024年1月1日以降に相続したマンションは相続税評価額を求める際に補正が必要

相続によりマンションを取得し、相続税の計算がどうなるのか不安に思っている方もいらっしゃるでしょう。
相続税を計算する際には不動産の評価額を求める必要があり、土地と建物にわけて評価をおこないます。
より確実な税額を知るには専門的な知識が必要ですが、おおまかな目安であればご自身で計算することも可能です。
この記事では、マンション相続における評価額の出し方と計算方法について解説します。
山口県防府市でマンションを相続するご予定のある方は、ぜひご参考になさってください。

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マンションの相続税評価額の計算方法とは

マンションの相続税評価額の計算方法とは

相続税を求めるには、いくつかの工程にわけて計算する必要があります。
おおまかな流れは以下のとおりです。

  • 正味の遺産総額を求める
  • 相続税の課税対象額を求める
  • 課税対象額を法定相続分で分割して相続税の総額を算出する
  • 相続税の総額を実際の分割割合で分割する

相続税を算出するには、マンションの相続税評価額だけではなく、正味の遺産総額を求める必要があります。
正味の遺産総額とは、預貯金や不動産などのプラスの財産から、被相続人の借金や未払金、相続人が負担する葬式費用などを差し引いた後の金額です。
正味の遺産総額を求めたあとも、遺産総額から基礎控除額を差し引いたり、課税対象額を法定相続分で分割したりしなければなりません。

すべての方に相続税が課されるわけではない

先述したように、相続税はマンションの相続税評価額を含む「遺産総額」を元に計算します。
しかし、相続税は遺産を相続した方全員に課税されるわけではありません。
相続税は、遺産総額が基礎控除額を超えた場合にのみ生じる税金です。
基礎控除額は相続人の数によって異なり、「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で求められます。
たとえば、法定相続人が1人であれば基礎控除額は3,600万円、2人であれば4,200万円です。
遺産総額が基礎控除額よりも少ない場合、相続税は非課税となり、申告も必要ありません。

マンションの相続税評価額は土地と建物をわけて考える

マンションの相続税評価額は、建物と土地(敷地)に分けて計算します。
分譲マンションだと、住戸のみを購入したように感じますが、実際は敷地の利用権も含めて購入しているためです。
なお、令和6年(2024年)1月1日以降にマンションを相続した場合は、相続税評価額の計算方法が異なります。
これまでは、建物の固定資産税評価額と土地の評価額と合算した金額が、所有する住戸の相続税評価額でした。
令和6年1月1日以降に相続したマンションについては、土地と建物それぞれの評価額に補正をおこなう必要があります。
補正の仕方は最終章でご紹介しますので、ここからは補正前の相続税評価額の計算方法を土地と他建物にわけて解説していきます。

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マンションの建物部分における相続税評価額(補正前)の計算方法

マンションの建物部分における相続税評価額(補正前)の計算方法

はじめに、補正前の建物部分の相続税評価額の計算方法をご紹介します。
建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額と同額です。
固定資産税評価額は、毎年市町村から送付される「固定資産税の課税明細書」に記載されています。
万一の際にすぐに確認できるよう、保管場所をきめて捨てずに管理しておきましょう。
なお、専有部分の固定資産税評価額には、共用部分を住戸ごとに按分した価額も含まれています。
専用部分とは購入者が住む各部屋のことで、共有部分はエレベーターやエントランスホールなど、マンションの住人全員が共有して使う部分です。
課税明細書にある「家屋の固定資産税評価額」には、共用部分も含めた建物部分の相続税評価額が記載されています。
課税明細書が手元にない場合は、市町村役場(東京23区では都税事務所)で「固定資産評価証明書」の交付を受けてください。

居住用か賃貸用かによって評価が変わる

マンションの建物部分の評価は、居住用か賃貸用かによっても異なります。
賃貸物件は居住用物件よりも相続税評価額が低くなるのが一般的です。
なぜなら賃貸物件には借主がおり、所有者が自由に使用できないからです。
評価額から「所有者の権利が制限されている部分」を差し引くため、相続税評価額は低くなります。
賃貸物件の相続税評価額の計算方法はとても複雑なので、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。

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マンションの土地部分における相続税評価額(補正前)の計算方法

マンションの土地部分における相続税評価額(補正前)の計算方法

続いて、補正前の土地部分の相続税評価額の計算方法をご紹介します。
補正前の土地部分の相続税評価額は、以下の計算式で求めます。
マンションの敷地全体の評価額×持分割合(敷地権割合)
マンションの敷地全体の相続税評価額は、「路線価方式」で計算するのが一般的です。
路線価方式とは、道路に面した土地の「路線価」を元に、相続税評価額を計算する方法をいいます。
マンションが郊外にあるなどで、路線価が設定されていない場合は「倍率方式」を使用しましょう。
倍率方式とは、相続した土地の基準年度の固定資産税評価額に定められた倍率を乗じて評価額を算出する方法です。
それぞれの計算式は以下のとおりです。

  • 路線価方式:土地全体の評価額 = 路線価 × 地積 × 各種補正率
  • 倍率方式:土地全体の評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

補正率とは、土地の利用価値を正しく評価するために用いる割合のことです。
土地の形がいびつで利用しづらかったり、間口が狭小であったりするなどで、売却しづらい場合に利用します。
路線価や倍率は国税庁が毎年公表しており、ホームページから確認できるので、事前にチェックしておくと良いでしょう。

2024年1月1日以降に相続した場合は計算方法に注意が必要

これまでは、上記で解説した建物の固定資産税評価額と土地の評価額を合算した金額が、所有する住戸の相続税評価額でした。
しかし、2024年1月1日以降に相続や贈与で取得した区分所有形態のマンションについては、建物と土地(敷地)のそれぞれの評価額について、一定の補正をおこなう必要があります。
まずおこなうのが評価乖離率の算出で、計算式は「A+B+C+D+3.220」です。

  • 「A」=建物の築年数(1年未満の端数は1年とする)×△0.033
  • 「B」=建物の総階数指数(建物の総階数÷33。地階は含まない)×0.239(小数点以下第4位は切り捨て)
  • 「C」=所在階×0.018
  • 「D」=敷地持分狭小度(敷地利用権の面積÷専有面積)×△1.195(小数点以下第4位は切り上げ)

次に「1÷評価乖離率」で評価水準を算出し、それから区分所有補正率を求めます。
区分所有補正は、上記で求めた評価水準の値によって以下の3つに分かれます。

  • 評価水準が1より大きい:相続税評価額(補正前)×評価乖離率
  • 評価水準が0.6以上で1以下:補正の必要はない
  • 評価水準が0.6より小さい:相続税評価額(補正前)×評価乖離率×0.6

最後に、区分所有補正率をそれぞれの相続税評価額に乗じれば、相続税評価額を求めることができます。

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まとめ

マンションを含む遺産の総額が基礎控除額を超えると、相続税の申告・納税が必要です。
そのためには、マンションを土地と建物に分けて評価し、評価額を算出しなければなりません。
また、2024年1月1日以降に相続・贈与によって取得したマンションは、相続税評価額を計算する際に補正が必要です。
ご自身で計算するのが難しいと感じる場合は、相続税に詳しい税理士に相談しましょう。
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